大判例

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東京高等裁判所 昭和32年(う)2271号 判決

被告人 武藤勝衛

〔抄 録〕

次に論旨第三点において、被告人の本件犯行が飲酒酩酊による心神耗弱の状況下で行われたものであるという趣旨の主張をしている。なるほど、本件犯行が酒に酔つての上のことであつたことは記録上窺がい得るものがあるにしても、それがため、その際被告人が心神喪失ないしは心神耗弱の状況に在つたということは、記録上到底認めるを得ないところであつて、所論主張もまた採用するを得ないが、職権をもつて考察をするのに、原判決には、その判決理由に示されている罪となるべき事実発生の日時として、ただ単に、「同年同月五日夕刻」とか、「同日午後十時三十分頃」とあるだけで、その示す日時が如何なる年月の日時であるのか、前後の判文によるも全く不明であり、この事は正に、有罪判決の理由判示としての罪となるべき事実の特定上欠くことのできない日時の認定判示なきに等しく、原判決は、この点において正に判決に理由を附さない違法があるというのほかはないから、本件控訴趣意における爾余の論点に対する判断を施すまでもなく、刑事訴訟法第三百七十八条第四号、第三百九十七条第一項に則り原判決を破棄し、同法第四百条但書の規定に従い被告事件について更に判決をするのに、原判決が、その理由において示している罪となるべき事実のうち同年同月五日夕刻とあるを昭和三十二年八月五日夕刻とするほか、原審の確定した事実に左記法令を適用して主文のとおり判決をする。

刑法第百八条、第百十二条(有期懲役刑選択)、第四十三条本文、第六十八条第三号。刑事訴訟法第百八十一条第一項本文。

(三宅 河原 下関)

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